【注意】優秀な人材採用の阻害と優秀な人材の落とし穴の実例

社内のライバルをつぶし出世の階段を上りつつあるブラック人事担当者

求職者からたくさん応募が来ていたとしても…
優秀な人材を採用したと思っていたとしても…
会社の発展に繋がらないどころか、倒産の危機に陥るケースがあります。

実際に起こった実例をあげてご紹介しますので、是非、今後の参考にしていただければと思います。

【実例1】自身の出世のため優秀な人材採用を阻害する採用実態

とある大手企業の人事部で、10年ほど働いていた女性の体験談です。

彼女のチームリーダーは若手ながら社内ではエリートと目されていた人物でした。
一流大学出身で、周囲への人当たりもよく、彼女は尊敬できる先輩だと思っていました。

リーダーに違和感を感じ始めた新卒採用面接

その年の新卒採用面接を行っていたところ、彼女はあることに気付きました。

チームリーダーが付ける評価と彼女の評価が、全くの正反対だったのです。
「この学生はできる」と思い高評価を付けると、リーダーは低評価。

変だな、と思っていたそうです。

そしてある一人の学生の面接で、その疑問は決定的になりました。

その学生は、とても優秀な雰囲気を身にまとい、受け答えも堂々たるもの。
面接官の意地悪な質問に対しても臆するところなく、とてもうまい言い回しを使って周囲を唸らせるような回答をしました。
度胸も、頭の切れも、他の学生とは違うずば抜けた面接での様子でした。

その様子に、彼女はもちろん最優秀の点数を付けたのです。

しかし、リーダーの評価は最低点。

さすがに疑問に思い、質問しました。
「どうしてあの学生の評価がこんなに低いんでしょう」

するとリーダーは、
「確かに彼は優秀だ。でも彼ほどの人物なら、うち以外の会社でも採用するだろうし、存分に活躍してくれるだろう。でも、うちの社風とは合わないんだよ」
と答えたそうです。

「それに、彼を入社させたとしても、何年かしたらよそにヘッドハンティングされて出ていくかもしれない。それを見るのは忍びないだろう」
とも。

まっさらな新人だから社風云々は入社後の話です。それに、なぜ入社前からヘッドハンティングされることを想定しているのでしょう。

疑問だらけの彼女でしたが、リーダーの強い押しには逆らえず、同じく高評価をしていた他の採用グループスタッフも黙るしかなかったそうです。

結果、その学生は不採用となりました。

リーダーは自分の出世のために、他人を蹴落とす行為をとっていた事が発覚

どうも納得がいかない──彼女はそのことがきっかけとなって、リーダーの情報を集め始めました。

すると、同期入社の社員のミスを遠回しに上司に報告したり、ライバルの立場にいた社員を貶めるような言動に及んだりしていたことがわかりました。

さらに、リーダーが人事担当となってから採用した新入社員は、ことごとく「指示待ち族」と言われる覇気が感じられない社員ばかり

大企業ですからそれなり以上の学歴かつ成績優秀な学生が集まります。

出来はいいのですが、まるで飼い慣らされた草食動物のような学生ばかりを採用していました。

リーダーは、まず自分のライバルを蹴落として出世の階段を上り、さらには扱いやすくおとなしい社員ばかりを採用することで、自身の身の安泰を図っていたのです。

一体どれだけの優秀な学生が、この会社で活躍する道を閉ざされたのでしょう。

そして、誰が見ても優秀だと判断できた人材を不採用とすることに、表立って異議を唱えないイエスマンたち。

このような組織になった会社は今後どうなるでしょうか。
遅かれ早かれ、覇気の無い社員ばかりが雁首を揃え指示を待つだけの腐りかかった企業に成り果てるのは目に見えています。

そんな事実を知ることとなった彼女は暗澹たる気持ちになり、この会社に勤めていて幸せなのだろうかと悩んでいると聞きました。

【実例2】不正行為を見逃したため、会社を倒産させてしまった人事

実際に起きた例として2つ目は「ある中堅の部品メーカー」で起きたことです。

営業部長の職にあったB氏は、新規開拓部隊を牽引する立場でかなりの業績を上げている人物でした。

次の異動ではさらに一段上に昇進するのではと見込まれていました。

ところが、そのB部長に、経費使い込みが発覚したのです。

新規の得意先を開拓するためには、さまざまな経費がかかります。
飲食による接待や、物品の購入も必要でしょう。

それらの中に少しずつ架空の領収書を混ぜ込んで、自分の懐に入れていたわけです。

切り込み隊長として豪快な雰囲気が売り物のB部長にしてはやることがせせこましかったのですが、その額は100万円に届こうとしていました

当然、社内では大問題になりました。
こんなケースなら普通は即座に懲戒免職になるのが普通です。
場合によっては背任横領罪で刑事訴追されてもおかしくありません

しかし社長は「開拓部隊を引っ張ってきた人物であるから穏便に」という信じられない温情措置を取らせました。

解雇どころか降格もなし。配置転換もなし。

使い込んだ金額は、ボーナスの一部で分割払い的に補填すればよいという温情判決

なぜ、温情判決をしたかというと、会社内の業績の大部分が、B部長の手柄だったからです。

ついに取り返しのつかない事態に発展

そのB部長、1年後に今度は取引先の担当者と結託して架空請求を行い、2人で山分けしていたことが明るみに出ました

先方の担当者は、即刻解雇

B部長の方も今度ばかりは社長もかばいきれず、解雇されました。

先方の会社はB部長が開拓した大手の取引先で、大きな売上を占めていたのですが、この件によって取引は停止となり、会社は赤字に転落

業績は下がる一方で、ついに銀行も融資を引き上げざるを得ず、倒産してしまったのです。

「出来る男だから」と甘い処分を行ったツケは非常に大きなものとなりました。

人事の成功は、採用担当者選びで全て決まる

上記二つの例は極端な例かもしれませんが、間違った人事は確実に会社全体に悪影響を及ぼします。

特にこれからの日本は少子高齢化で生産年齢人口が今よりもっと少なくなっていきますので、優秀な人材は貴重な存在です。

しっかり見抜いて採用していかなければならないですよね。

そのために、まず最初に力を入れるべきポイントは採用担当者選びになるのではないでしょうか。

失敗しない採用担当者選びのポイントとは?

では、どのような特性を持つ人を採用担当者にすべきかというと、人を正確に評価するという業務は普段の仕事を行う能力とは異なりますので、なかなか人選が難しいところですよね。

まず、大前提として言えるのは上記の実例にあるように、自分の事を優先して物事を考える人は論外。自分の事よりも会社の事を考えられる人でなければなりません。

では、それ以外にどのような特性を持った人が向いているのかをご紹介いたします。

先入観や思い込みがなく、客観的に判断できる人

人を評価する時に多いのが、今までの人生で接してきた人達の傾向で目の前にいる人を判断してしまうケースです。

「過去出会ってきた人の中でこうゆうタイプの人はこうだった」と深く聞きもせずに、先入観や思い込みで人の事を勝手に決めつけて評価してしまうやり方は正当な評価とは言えません。

深く聞いてみたら、とんでもなく優秀な面を備えている人かもしれません。

また、自分と異なる価値観を持った人と話しをすると、すぐに否定して、自分の価値観が正しい事を証明しようとする人は多いですが、もしかしたら、その価値観が成長の妨げになっている可能性もあります。

違う価値観を受け入れ、「こうゆう考え方もあり」と捉えられれば、新たな世界を生み出せるきっかけとなる場合も多いにあります。

だからこそ、偏見を持つ事なく、目の前にいる人がどんな人なのかを客観的に冷静に判断できる人を採用担当者として選んでおくと良いです。

優秀な人材を見逃さなくなる確率がグッと高まります。

情報整理と説明能力に長けている人

求職者を面接し、この人が良いと思えたら、なぜ、その求職者を採用すべきかを他の人に伝えなければなりません。

面接を行なって得られた情報をしっかりと整理し、求職者が持っている能力、人格、性格、将来性なども含めて採用すべき理由を的確に伝えられる能力が長けていると、スムーズに進みます。

なんとなくいいかなぁだと伝わりませんので、会社に必要な能力や人格を備えた人間を正確に把握し、目の前にいる求職者を的確に判断できる人が採用担当者として適任と言えるのではないでしょうか。

追伸

また、例え、優秀な人材だと思って採用したとしても、実例1と2のように、会社に悪影響を及ぼすような危険因子を持つ人材になる可能性はあります。

そんな時は社長の出番です!

泣いて馬謖を斬るという言葉にあるように、例え優秀であっても、組織の規律を守る事を最優先して適切な判断を下していただければと思います。