求人内製化を進めたい会社ほど、最初にぶつかる壁があります。それは「業者に任せれば大丈夫」と思ってしまうことです。
前回は、「社長が全部やる求人内製化」ではなく、「社員に任せても止まらない求人内製化」を伝えていく、と書きました。
その前提として、今回はもう少し手前の話をします。なぜ、求人業者に大きな費用を払っても、会社に求人で成果を出す力が残りにくいのか?
結論から言うと、求人内製化の第一歩は、業者への丸投げをやめることです。
楽な話ではありません。判断から逃げる会社に、ノウハウは残りません。
求人業者に何百万払っても、社内に何も残らないことがある
多くの社長さんは、「専門家に任せれば、ちゃんとやってくれるはず」と考えています。
- 求人なら求人業者
- 税務なら税理士
- 労務なら社労士
- ホームページなら制作会社
自分が詳しくない分野だからこそ、外部の力を借りたくなる——その気持ちはわかります。
ただし、ここに甘い誤解があります。専門家に任せたからといって、自社が本当に求めている成果に直結するとは限らない、ということです。
「よくわからないから全部お任せ」は、楽に聞こえます。でもその瞬間から、会社は判断基準を自分で持てなくなります。
専門家は、その業界の当たり前に沿って仕事をすることが多いです。でも、その当たり前と、社長が本当に求めている成果がズレていることがあります。このズレは、税理士事務所を選ぶ場面でも強く感じました。
税理士選びで見えた「業界の当たり前」とのズレ
僕が税理士に求めていたのは、ただ正しく申告してもらうことだけではありませんでした。合法的にできる節税であれば取り組みたい。たとえば次のような領域まで踏み込んで、会社にお金が残る方向でアドバイスしてほしいと思っていました。
- 役員報酬や賞与
- 消費税
- 旅費規程
- 減価償却
- 会社の状況に合った経理
でも実際には、そこに本気で向き合ってくれる事務所は、想像以上に少なかった。
「税務署に指摘されるかもしれません」
「一般的にはこの処理です」
「そこまでやる必要はありません」
こういう話が先に出る。違法をしていいわけではありません。リスクを考えることも大切です。ただ、合法的な選択肢があるのに検討しない——こちらが求めているのに踏み込まれない、という体験は、かなり衝撃でした。
なぜこうなるのか?一つの仮説は、そもそもそこまで求めている会社が少ない、ということです。「プロに任せておけば大丈夫」と思っていると、業界の当たり前のまま進み、本当に大事な部分が見過ごされます。規模や状況によっては、年間で数百万円、場合によってはそれ以上の差がつくこともある。しかも毎年積み重なります。
これは税理士だけの話ではありません。求人の世界でも、同じ構造が起きやすいです。
求人業界でも同じ!だから、成果を出す力は社内に残りにくい
求人業界の当たり前は、だいたい次のあたりで止まりやすいです。
- 求人媒体に出す
- 原稿を作る
- 採用LPを作る
- 広告を運用する
でも社長が本当に求めているのは、求人を「作ること」そのものではありません。
本当に大事なのは、自社で求人の反応を見て、原因を考えて、改善できるようになること。つまり、求人で成果を出すノウハウが社内に蓄積されることです。
でも実際には、この部分まで踏み込んでくれる業者は少ないと思った方がいいです。多くの会社がそこまで求めていないからです。加えて、会社が自分で見直せるようになると、丸投げ依存が減る——構造上、教えづらい側面もあります。
だから、求人を出すたびに業者に頼り、反応が悪ければまた相談する。でも判断基準は社内に残らない。これでは何百万払っても、会社に求人で成果を出す力は残りません。
お金を払っているつもりでも、実際には「判断しなくて済む安心」を買っているだけ、ということが起きるのです。
業者への丸投げは絶対NG!社内に何も残らない
丸投げをやめたくないなら、求人内製化は始まりません。ここははっきりさせておきます。
社内で見られるようにしなければならないのは、少なくとも次の4つです。
- 誰を狙うのか
- 何を打ち出すのか
- どの数字を見るのか
- なぜ改善するのか
ここを外部に預けたまま、「任せているから大丈夫」と言い続けるなら、何年払っても社内には残りません。
手を借りることと、考え方を預けることは別です。後者を選んだ会社は、楽をしているのではなく、資産を手放しています。
前回書いたとおり、社長一人で抱え込む形にも限界があります。だからこそ社員に判断基準を渡す必要がある。でもその前に、丸投げという逃げ道を自分で封じることです。「任せる」のではなく「使う」。主導権は社内に置く。
まとめ
専門家に任せれば成果が直結するとは限りません。税理士でも求人業者でも、業界の当たり前と社長が求める成果がズレることがあります。
求人内製化の第一歩は、丸投げをやめることです。判断基準を社内に残さない限り、お金を払っても力は残りません。
関連記事:求人内製化は、社長一人では続かない
次の記事では、求人業者を使う場合に「社内に何を残すべきか」をもう少し具体的に書きます。外注した結果、会社に何が残るか——そこを見ないままの丸投げは、いちばん高い買い物になります。
P.S. 僕は、事業を進めるうえで、絶対にケチってはいけない専門家が2人いると思っています。税理士とコンサルタントです。
理由はシンプルで、判断を間違えたときの損失額がえげつないからです。本当に良い人なら、できるだけ近くに置いて、離さない方がいい。逆にここをケチると、専門家に払うお金より、もっと大きなお金を失うことになります。
いや、本当に笑えないんですが、経営あるあるです。
あなたの会社は、本当に必要な専門家を選べていますか?そして、その良し悪しを見抜けるだけの判断基準を持てていますか?



