日本の雇用体系は、今まで終身雇用制が常識のように行われてきました。しかしあなたもご承知のように、それは崩れつつあります。
会社に忠誠を誓い、ひたすら会社のために人生を捧げるという生き方が、徐々に見直されはじめ、本当に自分が働きたい仕事・職場は、就職してから探してもいいんだ、という意識に変わってきました。
そこでよく言われるようになったのが「即戦力」という言葉。
もちろん、昔から転職を考える時に使われていました。
ここへ来て「即戦力」という言葉が持つ魅力的な響きも相まって、中途採用で入社する人々には、さまざまな期待が寄せられるようになりました。
新卒と中途の違い「採用・育成コストの比較」
そして、新卒採用と中途採用のコスト比較もなされています。
一般的に、新卒を1人採用する場合の費用は150万円。
さらに、入社後3年程度は戦力にならないと言われ、その間の給与や社会保険料はすべて「育成費」と見なさねばなりません。
この額はおよそ1500万円という試算があります。
一方、中途採用で即戦力となる人材を採ることができれば、採用にかかるコスト以外は必要ないということになります。
こうして、数字を比べると中途採用の方が企業の戦力アップにとって望ましい方法と言うことができるでしょう。
中途採用のコスト以外のメリット
また、異なった環境で育った社員を採ることで、新しい知識やメソッドを獲得できるというメリットもあります。
異文化に触れることで、自社の風土も変革できるということです。
筆者が知っているある企業では、中途採用で中間管理職を入社させ、今までとは違った風を社内に吹き入れるといったことを、定期的に行っていました。
安定しきった、ややもすると停滞した雰囲気が、異文化の管理職によってピリッと締まるのです。
緊張感を与えることで、今まで気付かなかった問題点も発見される。
その企業ではこれを「ピラニア方式」と呼んでいました。養殖ウナギの水槽にピラニアを1尾放つと、危機感を感じてウナギが活性化し長生きになることからのネーミングです。創業者社長の発案ですが、なかなかうまいと思いました。
中途採用の人材は本当に即戦力か?を徹底追及
では、中途採用の社員というのは本当に即戦力なのでしょうか。
これには、さまざまな見方があります。
中途採用の人材は最初、本来持っているスキルを発揮しづらい
中途採用した社員には、任せたい仕事をキチンと遂行してくれるスキルを求めます。
中途採用された側も、「よし、やってやる」という決意のもとに入社します。
しかし、彼ら彼女らが最初にぶつかる壁は、「企業風土の違い」です。
先ほども述べた異文化との遭遇です。
本来ならそれを変えるべき役割であるにもかかわらず、異文化に押しつぶされてしまいがちなのです。
よくある企業風土の違いとは?
- 部署名や役職名の呼び方
- 上司の判断を仰ぐタイミング
- 必要書類の書式
- 報告内容の記載レベル
- 納品の形式
- 必要経費の範囲
- アフターファイブの付き合い方
などなど、無数の文化的差異が発見されるでしょう。
つまり、前の会社で一人前の仕事をこなしていた人と言えども、転職先で同じようなスキルを発揮できるまでにはある程度の時間がかかるのです。
中途採用を即戦力として活かすためには?
時間をかけずにすぐに持っているスキルを発揮してもらうためには、生産性を向上させる努力ができるか否かが、重要なポイントです。
まず、求職者が転職したきっかけに目を向けねばなりません。
前の職場が不満で辞めた人は、その不満が再燃する可能性があります。
自分の身を振り返るのではなく、職場に不満の種を見つけがちだからです。
「思っていた会社と違う」「上司と合わない」「部下が低レベル」「給与が上がらない」といった事柄が、すべて会社の落ち度としか見えていない。
自分で改善する努力を、はじめから放棄しているのです。
ですから、採用の面接時に「いかにもできそう」「即戦力になりそう」な人材がいたとしても、そこだけに興奮し、我を忘れて即採用!といかないよう歯止めをかける必要があります。
求職者側も意気込みを持って面接に臨むのですから、やる気を見せるのは同然なのです。
では、本当に即戦力として期待できる人材かどうか、見きわめるためのノウハウを次のチャプターでご紹介しましょう。
即戦力として活躍してくれる優秀な人材を見抜く4つのポイント
本当に使える即戦力を採用するためには、求職者側に求めるポイントと、採用側が整えておかなければならないポイントが存在します。
中途採用の応募者に求めるべき4つのポイントとは?
ポイント1:社風を理解する努力をしてくれるか
社風に馴染めず、価値観のギャップ・違和感を目の当たりにして、すぐに辞めてしまう人も少なくありません。
ポイント2:前職でのやり方にこだわらないか
前職で成功してきた人であればあるほど、自分がやってきた手法にこだわります。また、自分が経験してこなかった業務では力を発揮できませんので、積極的な挑戦には尻込みする傾向があります。
ポイント3:好奇心が旺盛か
新しい会社で伸びるためには、引き出しの数を増やし、中身を充実させる必要があります。
今まで知らなかったことを吸収して自分のものにするという、好奇心や向上心を持っているかどうかを見きわめてください。
ポイント4:過去の実績をことさら強調しないか
誰しも、自分をよく見せる努力はするものです。
前職での経歴や実績などをアピールするのは当然なのですが、それがあまりにも露骨に感じられることも、ままありますね。
本当にそれがその人の実績なのか、他の点から目を逸らそうとしているのか、じっくりと判断してください。
このように、中途入社社員が力を発揮できるかできないかは、「適応力」の有無にかかってくると言っても過言ではないでしょう。
同等のスキルを持つ人がいたとしても、すぐに活躍できる人、そうでない人に分かれます。これは、転職先の企業のことを知ろうという興味や好奇心があり、前職との違いや新たな文化を受け入れようとする適応力に左右されます。採用担当のあなたが一番にチェックすべきは、その人の「適応力」に絞られるということです。
優秀な人材に選んでもらうために準備しておくべき4つのポイント
ポイント1:求める人材像をイメージする
採用計画の中で最も重要なのが、求める人材像を明確化することです。
経験年数やスキル、資格といった人材スペックと、志向性、性格といった人物のタイプなどを、具体的にイメージしておきましょう。
あなたの企業でで結果を出している社員をイメージするとわかりやすいです。
ポイント2:ビジョンを持つ
一見何でもできそうな求職者を焦って採らないことです。
前述の通り、求職者側は自分の実績を輝かしく見せる術に長けているかもしれません。
また、採用面接に臨むにあたり、意気込みややる気を強調したプレゼンテーションをします。
その熱気に押されず、本当に会社にとって必要な人材は何かを明確にしたビジョンを持ってください。
ポイント3:社内システムを修正する
転職者にとって一番の不安は、この会社に溶け込めるかどうかです。
そして、優秀な人材を採用したければ、彼ら彼女らにとって魅力的な組織である必要があります。
賃金体系、人事制度などが中途採用者にとってもメリットがあるかどうか、チェックしてください。
これら社内システムの修正は、既存社員のためにもなることですから。
以上、中途採用者を即戦力として迎え入れるためのポイントを説明してきました。
ポイント4:無駄にお金をかけずに結果に繋がる広告手法で伝える
ここにこんな優れた会社がある、こんな人材を求めている、こんな態勢を整えている。
従来なら求人情報誌やハローワークに掲載・掲示をして待つしかありませんでした。
しかし今はそんな受け身の求人方法を採らなくても、さらに、効果のない手法に頼ってお金を無駄にしなくても、真の人材を見つけ出すための手法があるのです。
下記で紹介している書籍をぜひ、ご覧になってみてください。