輝かしい経歴を持つ求職者から応募が来た。きっと会社に貢献してくれる!と思って入社してもらったのに、いざ働き始めたら、数ヶ月後に辞めてしまった。特に何かトラブルが起きた訳ではないというのに。
といった事が起こる事があります。
原因は労働者が求めている事と企業側が求めている事が一致していない雇用のミスマッチによるもの。
では、具体的にはどのような問題が発生しているのか?
実際に起こった事例を参考にしていただき、ミスマッチ採用を起こさないように注意して頂ければと思います。
優秀な人材の能力を活かせない雇用のミスマッチ
ある中小企業での出来事です。
新規プロジェクトを立ち上げるに当たり、社長の意向で外部から適材の人物を採用することになりました。
そして、ある人材紹介会社を通じて一人の男性Aさんが応募してきました。
40代前半、一流大学出身で大手企業の次長職を務めた輝かしいエリートコースを歩んでいる方でした。
面接してみると、経歴通り頭が切れるだけでなく、温和な話し方で周りとのコミュニケーションも十分うまくいくと確信したため、社長は即入社を決めました。
しかし、、、
入社後プロジェクトリーダーとして働き始めたAさんは、どうも期待通りの人物ではないという評判が立ってきたのです。
彼自身も、入社して「こんなはずではなかった」といろいろ驚いたと言います。
なぜ、エリートは自分の能力を活かせなかったのか?
Aさんは前職でエリートコースの道を歩んできた訳ですから、高い能力を持っているのは間違いありません。
でも、なぜ、その能力を転職先では活かせなかったのか?
原因1:働く環境の違い
まず、一つ目の原因が働く環境の違いにあります。
大企業で働いていたAさんはデジタル機器を駆使し、効率良く仕事を進めていました。
しかし、転職先では昔ながらのアナログ的な手法で取り組む業務が多かったのです。
大量の伝票を手書きしなければならなかったり、資料の整理方法がアナログすぎたり、、、
わざわざ非効率な作業にしなければならない事はAさんにとってはストレスですし、新しいやり方を取り入れ、社員全員に伝える作業も手間がかかって大変です。
原因2:部下への対応の違い
もう一つの原因は部下への対応の仕方です。
転職先での部下への接し方は、Aさんにとって合わないやり方でした。
Aさんは自ら進んで部下に働きかけるのではなく、部下が自らの考えで動く事を重視し、受け身の体制だったのです。
ところが、転職先の会社では指示を待つ社員が多かったため、プロジェクトの進行が遅れ気味となりました。
部下の成長を願って良かれと思ってやっていたというのに陰では
「エリートと言っても、あの人は何もやらないじゃないか」
という声が強くなり、本人もいたたまれなくなって数か月で退職してしまったのです。
これは、転職先の会社の環境がAさんに「合わなかった(ミスマッチ)」から起きた悲劇です。
雇用のミスマッチを避けるには会社に相応しい人を選ぶべき
ミスマッチが起きるというのは、どちらが良いとか悪いといった話ではありません。単に合っているのか?合っていないのか?といった話です。
上記のように、前の会社では能力を存分に発揮してエリートコースを歩んでいたけど、転職したら散々だった。といったケースもあるでしょうし、逆のケースもあり得ますよね。
だからこそ、重視しなければいけないのが面接時のチェックです!
採用を決めるまでに、ミスマッチが起きないかを十分に注意して目の前の人をジャッジしなければなりません。
学歴や経歴が凄くて一見優秀そうに見えたとしても、もしかしたらあなたの会社には合わないかもしれませんし、逆に特に目立ったモノがなくても、あなたの会社にピッタリマッチした人材かもしれません。
偏見を持たずに目の前の人を冷静かつ客観的にチェックして、あなたの会社に適合できるかどうかを深く話合わないと正確には見えてきません。
すぐに辞めてしまうのは会社にとって大きな痛手
入社してすぐに辞めてしまうのは双方にとって、悲しい事ですし、入社から辞めるまでに行った事は全て無駄になってしまうので企業にとって多大なる負担になります。
社内の雰囲気も良くなるとは言えませんし、何も良い事はありません。
求人が難しくなっている現在の状況では、応募があって問題がなければ即採用を決めたいと思う企業も多いとは思うのですが、求職者のためにも、会社の将来のためにもミスマッチが起きないかを十分に注意して頂ければと思います。
雇用のミスマッチを起こさないためには応募数の確保が必須
とは言え、ミスマッチに注意したくても肝心の応募がなければ、そこから選ぶ事ができないと思われている企業も多いと思います。
だからこそ、まず何に力を入れなければいけないかと言うと求人活動になるのではないでしょうか?
求職者からの応募を増やさなければ、自分の会社に相応しい人を選ぶ事が出来ない訳ですから。
ミスマッチを起こさないようにするのは、その次の課題になります。
現状、あなたの会社でボトルネックになっているのは何か?をまずはしっかりと見極めて頂ければと思います。