気が付けば「ゆとり世代」は既に社会人。
2016年にヒットしたTVドラマに「ゆとりですがなにか」があります。
文字通り、ゆとり第一世代を主人公としたドラマで、脚本は宮藤官九郎さん。
ゆとり世代にどっぷり浸かって育った後輩も登場し、彼のあまりにもマイペースぶりは、主役を食うほどの話題を集めました。
このドラマで描かれているゆとり世代の言動の数々は、お茶の間に衝撃を持って迎えられたのです。
- 「これはドラマだからオーバーなだけ」
- 「いや、現実にこういう若者はいる」
と賛否両論が起こりました。
そして、「ゆとり世代は既に社会人になっている」ことを再認識したのです。
ゆとり世代とは
そもそも「ゆとり世代」とは小中学生時代を「ゆとり教育」で過ごしてきた世代のことです。
一般的に1987年から2003年までに生まれた人々が「ゆとり世代」と言われています。
2002年に改訂された学習指導要領で、「完全週5日制」「総合的な学習時間の導入」等の実施によって詰め込み教育からの転換を図りました。
その結果、授業時間が減り、カリキュラムも易しくなり、頭の中に詰め込まれる要素も少なくなりました。
ちなみに、今までの教育を受けた人たちにとっては信じられないような教え方もありました。
円周率を「3」と教えていると聞いた時は耳を疑った方も多いでしょう。私たちの世代には「3.14」が常識でしたから、「3」でいいのか!?と思いました。
ゆとり世代によく見られる5つの特徴
ゆとり世代の特徴はズバリ「マイペース」。
もしあなたの会社にこの世代の社員がいたら、よく観察してみてください。
もしかしたら、もう既に実感なさっているかもしれませんね。
具体的には、次のような行動が見られます。
特徴1:仕事よりもプライベートを優先する
とにかく自分のことが最優先です。
アフターファイブにお酒に誘っても「大丈夫です」と言って断られたことはありませんか。
勤務時間外にまで上司と顔を合わせたくない、自分の時間を確保したい、という気質です。
時には顧客より自分の都合を優先させることも。
特徴2:打たれ弱い
ストレス耐性がないのもこの世代の特徴です。
ちょっと注意したら会社を休む、辞めたいと言い出す、などの行動に出ます。
親や教師からあまり叱られた経験がないから、注意されることは大きなストレスなのです。
また、今の会社でどうなりたいかが明確にイメージできないため、簡単に退職を考えます。
特徴3:言われたことしかやらない
「指示待ち族」という言葉は昔からありました。
言われたことしかやろうとしない、できない。
考えてみれば新人なのですから多かれ少なかれそういう傾向はあります。
しかしゆとり世代はそれが顕著のようです。
マニュアルには沿うことができるけれど、想定外のことにはパニックを起こす。
思い当たりませんか?
特徴4:検索結果に頼り想像力に欠ける
わからないことがあればネット検索をかけ、検索で出てこないと「わかりません」と投げ出す傾向にあります。
検索結果に依存しすぎ、自分の頭で考えることが苦手。
想像力を働かせられないようです。
自分で考えたことが違っていたらどうしよう、と失敗を事前に恐れる特質もそれに輪をかけています。
特徴5:競争心がない
生徒同士で競わせることを禁じ、運動会での徒競走を廃止した学校もあると聞きます。
ナンバーワンになるよりもオンリーワンであることを尊びますから、「あいつに勝ってやろう」という意識は希薄です。
そんな気質の人間が競争社会であるビジネスシーンに投げ込まれたら、変調をきたしてしまうのは当然ですね。
「ゆとりモンスター」の脅威
上で引き合いに出したドラマの中に、ゆとりどっぷりの後輩が社内や周囲を引っかき回すエピソードがよく出てきます。
彼は「ゆとりモンスター」と呼ばれ、その強烈さは多くの議論を呼びました。
ドラマ中では
- 得意先回りに遅刻しても「道がわからなかったんで」と平然としている
- 先輩の説教をパワハラだとして訴訟を起こす
- 辞意をLINEで伝える
- 先輩に「土下座しろ」と罵声を浴びせてそれをムービーで撮影する…
などなどモンスターぶりを発揮しています。
ここまで極端ではなくとも、あなたの会社のゆとり社員はこんな行動を取っていませんか?
ゆとり世代によく見られる4つの行動パターン
行動1:命じたことを終えると何もしないでボーッとしている
指示待ちの典型的な態度です。
自分で次に何をしたらいいかわからない。
想像もできない。かと言って上司に訊くこともしない。
そのボーッとしている時間も給料のうちですから、働かない社員に無駄なおカネを払っていることになります。
行動2:注意すると逆ギレする
注意されたり叱られたりの経験が少ないので、こうなります。
あまりに酷いから「もう帰れ!」と言うと、本当に帰ってしまうこともあります。
上の世代では、少なくともその場でできることを考え、行動に移す努力をするはずです。
なぜ自分が叱られているかが理解できないから、キレるしかないのです。
行動3:ツイッターで企業内部の事情を拡散
社会的に非常識な行動を撮影し、それをツイッターなどにアップして炎上、という事件が今でも起こります。
中には、社内事情や企業秘密がツイートされてしまうことも。
本人に悪気はなくても、こういったSNSへの発信は全世界に開かれていることを理解していないのが問題です。
「バカッター」とも言われているゆえんですね。
機密事項やお得意様の内情をツイートされてしまったらもう消すことはできません。
取り返しの付かない事態になります。
行動4:敬語が使えない
新入社員にいきなり対等な口の利き方をされ、驚きながらもそれを指摘できなかったという声があります。
確かに、敬語や謙譲語は難しいもの。
それでも覚える努力をするのが普通です。
敬語が使えないままお得意様と話し、怒らせてしまったら──ゾッとしますね。
「お宅の教育はどうなっているんだ」と契約を切られるかもしれません。
以上、今まで見聞きしたことをまとめてみました。
まだ深刻なゆとりモンスターによる被害を受けていないという方もいらっしゃるかもしれません。
しかしこのままだといつかは、いや近いうちに、ゆとり被害に見舞われることは確実です。
そうならないための対策をいくつかご紹介しましょう。
ゆとりモンスターの被害を防ぐための4つの対策
今まで見てきたように、ゆとり世代の特徴は「マイペース」が基盤になっています。
彼ら・彼女らは自分のことが一番好きなのです。
そこを上司が否定してしまうと、極端な暴発を引き起こすことがあります。
では、それに触れずちやほやしていればいいのか、ということでは決してありません。
社会人としての常識やすべきことの自覚をきっちりとわかってもらうこと。
当然ながら、頭ごなしはNGです。
彼らの特質を掴みつつ、自覚を促すための方法をお伝えしましょう。
対策1:自分たちの居場所を明確化する
彼らは「今いる会社は自分らしくいられる場所ではない」という意識を持っています。
社会にまだ馴染めていないわけです。
仕事も細分化され、昔のように会社の部署全体で育ててくれることは少なくなっています。
これを解消するため、日誌や日報を書く時には近況報告も一緒に記載してもらうなどすれば、直接話しかけられない部分をカバーすることができます。
「自分は一人ではない」と思うことで、「自分の居場所はここ」という意識を植え付けるのです。
対策2:仕事の道筋を可視化して伝える
仕事を始めてみて不安に感じるのは、「自分がやっているのはプロジェクトのどの部分なのか」です。
「居場所の明確化」にも通じますが、どこにいるかをはっきりとしてあげることが解決策のひとつとなります。
「指示待ち」が特徴の世代ですから、自ら仕事を進められるようになるためには、仕事の道筋を理解してもらうことから始めるのがベターだと思います。
その上で、想像させるのではなくきちんとロードマップを書いて渡す。
まさに「手取り足取り」に見えるかもしれませんが、ここまでしないと理解ができない世代ということを、私たちも理解する必要があります。
対策3:いい評価はその場ですぐに出す
FacebookやTwitterなどのSNSが日常の一部となっている世代ですから、自分が発したことに対して即座に「いいね」が付かないとテンションが下がります。
仕事も同じです。
承認欲求と言うのでしょうか。
それに応えるべく、遂行した業務に対してすぐに評価をする体制を採るとよいのです。
顔と顔を合わせて講評する機会が少ないのなら、上に挙げたように日誌や日報で複数人が評価できるようにすればよいのです。
今はグループウェアを活用してプロジェクトを進行することも多いでしょうから、その中で評価システムを確立していけばよいでしょう。
対策4:孤立させない
「自分は理解されていない」「味方がいない」という気持ちになってしまうと、「じゃあいいや」と退職への道を歩み始めます。居場所ではないと判断するのですね。
こうやって孤立するのを防ぐために、サポートする人間が他にいるんだということをわからせることが重要です。
野球の名監督は、「後ろに〇〇が控えているから、最初から全力でいけ。
何も恐れるな」と若いピッチャーに声をかけているのだそうです。
自分の中だけにため込んでしまう前に、バックを信頼することの大切さを理解できれば、孤立化は防げます。
ゆとり世代は、決して能力が劣っているわけではありません。
いや、むしろ潜在的には優秀な人材が揃っていると言ってよいと思います。
やるべきことをしっかりと、真面目に勉強してきた世代ですから。
そして、あなたや私たちの世代も変わらなければならない時代に来ています。
「そういう時代」となったことをすっぱりと受け入れなければなりません。
彼らは、あと何年かしたら社会の中堅となり、中心となる世代です。
その時にあなたの企業が彼らの力を生かし切れているかどうか。
ゆとり世代を育てることは、会社の未来をも左右すると言えます。
重要なのは優秀な人を採用できるか?
ただ、いくら人材育成が重要とは言え、ミスマッチが起こってしまうとどうしようもありません。
企業側が求める人材と求職者側が求めることがマッチしていなければ、長期的に良好な関係は築けません。早い段階でトラブルが発生して辞めてしまいます。
ですから、もし、求人の応募が少なくてそこから良い人材を選ぶことができないような場合は、まず最初に力を入れるべき対策は求人広告です!
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