- 「労働人口」つまり「労働力人口」とは、15歳以上の就業者および失業者を指します。
仕事に就いていなくても求職活動を行っていれば65歳以上の方も含まれます。 - 「生産年齢人口」とは、15歳から64歳までの人口を指します。
この中には主婦や学生など労働能力はあっても働く意思のない者や病気や怪我などで働けない人も存在します。
この「労働力人口」と「生産年齢人口」はいずれも減少し、このままでは日本経済の近未来に深刻な打撃を与えると言われています。
さらに先を見通すともっととんでもない状況になる数字をご紹介します。
総務省が2014年に発表している「平成26年版 情報通信白書」の中の、「我が国の労働力人口における課題」という一節です。
これによると、15〜64歳の生産年齢人口は、2060年には4418万人にまで落ち込むと見込まれています。
15〜64歳の人口は2060年に4418万人まで減少
統計を取ったのが2013年ですが、このグラフは2年後の2015年の数字も正しく予想しています。
次に、15歳以上の就業者と完全失業者数を合計した「労働力人口」を見ていきましょう。
労働力人口の2060年における予測(内閣府が2014年に発表)
- 女性や高齢者の労働参加が全く進まない最も悲観的なシナリオの場合で、3795万人
- 30〜49歳の女性労働力比率を先進国最高のスウェーデン並みに引き上げ、60歳以上の労働者の引退年齢を5年送らせた場合でも4792万人
- 2012年に1.41だった合計特殊出生率が2.07に回復した場合でも5407万人
右のグラフをご覧ください。
こんな具合なのです。
日本のGDP低下に関する未来予想は、悲惨であることに変わりありません。
働いていない人(非労働力人口)を労働力人口に転換すればどうなる!?
労働力人口とは、前述のように就業者と完全失業者の合計数。(完全失業者とは、就労の意思と能力があり就職活動はしているけれど仕事に就けていない人のことです)
つまり、働く意思のある人たちの事ですが、一方で働く意思のない人たちも存在します。
専業主婦・高齢者・病気などで働くことができない層の人たちの事ですね。
これらの人口を「非労働力人口」と呼びます。
さまざまな事情があることは重々承知で提案しますが、この非労働力人口を、労働力人口へ転換することができれば、2060年の労働力人口の数字はもう少し改善できるかもしれません。
非労働力人口が就労しない理由の統計があります。
冒頭で紹介したと同じく「我が国の労働力人口における課題」からです。
- 出産・育児のため
- 健康上の理由
- 介護・看護のため
というのが、どうしても就業できない理由のベスト3です。
男女比では、女性がおよそ3/4を占めています。
しかし、就業希望はあるものの就業していない人たちも多く存在します。
働けるのに働かない非労働者のよくある悩みとは?
- 適当な仕事がありそうにない
- 今の景気や季節では仕事がありそうにない
- 勤務時間・賃金などが希望に合う仕事がありそうにない
- 自分の知識・能力に合う仕事がありそうにない
- 近くに仕事がありそうにない
求職活動をしていないのですから、「ありそうにない」という理由になるのはもっともです。
しかし、心の中では働きたいと思っているわけですね。
労働力人口を増加とまでは行かずとも、少なくとも食い止めるには、非労働力人口を転換させるという方策は使えるかもしれません。
そして、「潜在的労働力」という調査もあります。
このグラフによると、男女とも潜在的労働力率は、就業率を上回っています。
つまり、「働いていないし求職活動もしていないけれど働きたい」人は相当数に上るということです。
とは言え、「ありそうにない」仕事を存在させるためには、社会的制度や意識の変革も必要となってくると思われるので、政治や行政の面からの対策となります。
一市民にとってはとても大きな対象ですが、こんな政策を掲げる政治家を選ぶという手段もあるかと思います。
船渠の投票率を上げるには、有効な方向性かもしれません。
少し脱線しましたが、非労働力人口は宝の山であることは事実です。
働かない人たちを働けるようにサポートする必要性があるかもしれません
「仕事をしたいが自分に合う仕事がありそうにない」──こんな、はじめから諦めてしまっている人たちを就業させるには、彼ら彼女らの前に仕事を提示してあげる必要があります。
上記に引用した総務省の「我が国の労働力人口における課題」は、「ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト」という何やら難しそうな白書の一部分です。
この「ICT」とは「Information and Communication Technology」の頭文字で、いわゆるITの概念をさらに一歩進め、IT=情報技術に通信コミュニケーションの重要性を加味した言葉です。
この技術をより有効に使うのであれば、非労働力人口のうち働く意思を持っている人に、仕事の提示をしてあげられるのではないでしょうか。
ITを使って働きたくても働けなかった主婦層に新たな仕事を生み出した事例
例えば、子育て中の主婦は外で働く事はできないですよね。
でも、生活をしていくためには働いて収入を増やしたいと考えている主婦はたくさんいます。
ITの技術を使って、少ない時間で在宅で仕事ができるような環境を整えてあげれば、新たな労働を生み出すことができます。
実際にインターネットを介して仕事を頼みたい人と仕事をしたい人を結びつけるランサーズやクラウドワークスなどの「クラウドソーシング」というサービスはまさにそういった悩みを解決しています。
働きたくても働けなくて困っている優秀な人材はたくさんいるため、企業もクラウドソーシングを使ってたくさんの仕事を依頼しています。
ランサーズの依頼総額が945億円を突破しているのがその証です。
生産性を上げるには時代の変化に対応し、新たな労働を生み出す柔軟性が必要になってくる時代です。
労働力人口が減っていて現状ではどうする事もできなければ、非労働人口を労働力人口に変えるアイデアを練る必要があるかもしれません。