離職率を業界平均よりも大きく下回らせた3つの成功事例

少子高齢化で人手不足がさらに深刻になる日本の企業において、今後とらなければならない対策は採用人数を増やすだけでなく、現在のスタッフさんの定着率を上げる対策も行う必要があります。

「離職率の低い業界だから、うちはしょうがない」と思ってしまえば、何も変えられません。

今回の記事では、業界平均よりも離職率を大幅に下回らせることに成功した3つの事例をご紹介致します。ぜひ、定着率を高めるヒントを掴んでいただければ幸いです。

成功事例1:業界最悪の離職率からの劇的改善〜レオパレス21

賃貸マンションで有名なレオパレス21。不動産業界の平均離職率は15%ともともと高めでしたが、同社は業界の中でもぬきんでた離職率を記録していました。2011〜2012年のことです。

このままでは企業として立ち行かなくなる、と、優秀な社員の流出を阻止して定着率も向上すべく社内改革が始まりました。

OJTだけでなく研修制度に着手する

まず着手したのが研修制度の充実でした。

それまで教育は現場任せで先輩や上長の経験に基づいたOJTに頼っていました。しかし社内アンケートによると教育に対する欲求がとても高いことが判明。研修制度を導入すればもっと会社への期待感を持ってもらえるのではと、管理職研修、営業力強化研修、組織マネジメントなどの研修を実施しました。

これが社員の教育レベルの均質化に大きく貢献しました。

もちろん、叩き上げの現場経験を持つ管理職たちからは相当な反発があったそうです。研修を受けるより目の前の客が大事だ、という意見もありました。

これを変えたのが営業力研修。この研修をきっかけに結果を出す社員が現れはじめ、意識が変わりました。

やはり現実的な結果が最も強い説得力を持つわけです。社内で「研修は必須」の空気となりました。

人事部によるヒアリングが功を奏す

また、人事部によるヒアリングも効果大でした。現在の部署に不満がある社員に対し、辞めるのではなく本人のスキルを活かせる部署を聞き出して、人事部と一緒に考えるようにしました。

こうしたヒアリングは、新卒1年目社員に対するケアとしても有効に働いています。

不動産業界は仕事がハードというイメージができあがっています。労働時間も長く、たくさん働いた社員イコール高評価とされてきました。レオパレス21ではこれを改め、限られた時間で成果を出した社員の評価を高めたのです。

その結果、時間外労働は減り、有給休暇取得率もアップ。残業代を稼ぐためにだらだら業務を行っていた風潮も改まりました。


できるだけ高効率で仕事をこなすことが高評価に結びつくのであれば、社内の雰囲気は変わります。
現在はワークライフバランスを推進すべく、人事部が率先して謝意改革に取り組んでいます。

成功事例2:利益をきちんと社員に還元して世の中を明るく〜鳥貴族

離職率の高い業界と言えば、宿泊・飲食サービス業もその一つです。2015年に厚生労働省が発表した「新規大学卒業就業者の産業別離職状況」によると、この業界の1年以内の平均離職率は20%。3年以内で見ると53%にも上ります。

この業界にあって低い離職率を保っているのが、鳥貴族です。全メニュー280円という低価格均一料金にも関わらず味でも高い評価を得ている同チェーン。店舗数を急速に拡大しています。

創業者の思いを共有する施策に取り組む

同社の創業者は「利益は目的ではなくて、理念を実現するための手段である」という考え方を持っています。

その理念とは、「焼き鳥屋で世の中を明るくする」というもの。たかが焼き鳥屋でも心を込めて笑顔で美味しいものを提供していれば世の中を明るくできる、という創業者の思いを込めています。これを共有するための施策を採っており、社員への浸透が進んでいます。

理念が明らかになっているから、採用の際会社に合うかどうかをしっかり見ることができます

そして採用しすぎないことも心がけています。

人手不足の業界ですから、現場から「もっと人が欲しい」とリクエストが来ます。しかし、本当に理念に合う応募者を採用することで定着率を高めることが先決と考えたのです。

採用の基準を上げることで、離職者を最小限に留めることができたわけです。

面接官による訪問ヒアリングを取り入れる

また、採用された社員が現場に配属されて1か月ほどした頃、面接官が訪問してヒアリングを行っています。

直属の上司には言いづらいことも、人財部の人間になら言えるからです。そこで店長の代わりに思っていることを早めにキャッチできるようになります。現場では見えていないことを、人財部がフォローする形です。

業務体制についても改善を重ね、無断での残業・休日出勤は禁止、年間休日を徐々に増やしていくなどの体制を整えています。

同社の人事担当部署は「人財部」と名付けられているだけあり、企業にとっての「財産」である人材を見つけ育てる部署として、低い離職率実現の功労者と言えましょう。

成功事例3:多様なワークスタイルで社員一人ひとりに満足感を〜サイボウズ

人材の流出・流入が多いことで知られているのがWeb・IT業界です。この業界で働く人たち自身が、より良い環境を求めて転職を繰り返すのが常態化しています。

そんな中、グループウェア開発で知名度の高いサイボウズは、離職率を劇的に下げる経営に成功しました。現社長が就任した年の離職率は何と28%。それを4%にまで低下させたのです。

コミュニケーションを活性化させる制度の導入

まず着手したのが、社内コミュニケーションの活発化でした。社員の話をきちんと聞き、求めている働き方が実に多種多様ということを知りました。そして、あらゆる人事制度をボトムアップ型で整えていったといいます。

具体的には、仕事を重視・仕事とプライベートの両立・社外活動にも積極的など、それぞれのライフスタイルに合わせた「選択型人事制度」です。在宅勤務制度、場所や時間ではなく成果や生産性を重視する「ウルトラワーク制度」も用意されています。

とは言え、制度を作っただけではなかなか利用されません。そんな中、少しずつ成功例も出始めてきたのが好転するきっかけでした。

残業しない制度を妊娠中や子育てに使うだけではなく、退社後学校へ通うために活用するなど、活用の幅を広げていき、摘要範囲を広げていきました。

また、社内部活動の促進制度もコミュニケーションの活性化に役立っています。要因を満たしていればどんな部でも設立でき補助を受けられます。横のつながりが密になり、業務も全社的に活発になりました。

驚きの社員が辞めやすい制度の創設

そして驚くべきことに、「社員が辞めやすい制度」も創設したのです。

これは「育自分休暇」といい、35歳以下のエンジニアやスタッフを対象とした、転職や留学など環境を変えて自分を成長させるために利用できる制度です。利用者には「再入社パスポート」を交付し退職後6年間は復帰が可能になるのです。

この制度のおかげで、戻ってきた社員が今まで社内になかった価値観を持ち込み、多様性のある組織づくりにつながっていきます。

取り組み事例から見えてくる、あなたの会社にもできる7つの離職率改善策

コミュニケーションの活性化とモチベーションの向上で働くのが楽しい会社作りを

コミュニケーションの活性化とモチベーションの向上で働くのが楽しい会社作りを

先日、労務管理のプロが受けた労務相談を聞く機会がありました。数多くの企業を見てきた社労士さんが、「こういう取り組みで離職率を下げられた」というケースをいろいろと語ってくれました。まとめてみると、次の通りです。

改善策1:成長を実感させる

誰もが持っている成長欲求を満たすため、その場を提供する。社内研修や助成金利用が効果的。休職制度を利用して海外研修に送り出す会社もあります。

改善策2:朝礼をしっかりと行う

コミュニケーションの活性化のためには朝礼も効果的です。ただし、連絡事項や申し送りだけではなく、企業理念やスローガンなどを唱和するなどの気持ちを一つにすることも大切です。

改善策3:社会に貢献する活動を行う

CSR活動に力を入れている清掃活動や植樹、ボランティアなどの社外活動を積極的に行ったり、省エネに力を入れたり、文化的な事業を行ったり、「企業の社会的責任」を行うことは、社員にとっての企業ブランド価値を高めてくれます。

改善策4:社員の家族を大切にしている

会社は働いている本人だけのものではなく、その家族のものでもあります。夏休みなどに子どもを会社に連れてきて、親の仕事ぶりを見てもらうのもいいでしょう。働いて輝いている親の姿は、家族の絆を強め結果的に会社との絆も太くなります。

改善策5:改善策を常に全員で考えている

会社の仕組みや制度への不満は、離職率に直結します。その仕組みを作るのがうまい会社は、定着率を上げることができます。改善提案を社員から出させ、採用されたらお金を払うことでモチベーションアップを図っている会社もあります。

改善策6:有給休暇をしっかりと取っている

働きやすい会社は休みをしっかり取れる会社でもあります。離職率の低い会社で、有給休暇取得率が70%を超えているところもありました。周囲や上司に気兼ねせず休めるムードを作ることが大切です。

改善策7:上司と部下が納得の上で残業をしている

残業の多さはブラック企業につながる第一歩。しかし残業しなければ業務が完遂できないケースが多いのも事実です。そんな場合は、「なぜ残業が必要か」を上司と部下で話し合い、納得の上で残業に取りかかる仕組みを作っている会社もあります。一方的な残業命令では、部下の心はやがて離れます。

あなたの会社の素晴らしさを求職者にどう伝えるか?

以上見てきたように、離職率を下げる・定着率を上げる施策はたくさんあります。あなたの企業でも出来る部分から導入してみてはいかがでしょうか。

そして、定着率が向上したあかつきには、そのことを求人広告に盛り込んで訴求ポイントになさると強力な武器となるでしょう。

それを、一人でも多くの求職者に届けるためにはどんな方法を採ったらいいでしょうか?

普通に考えると求人雑誌や求人サイトでしょう。その中にあなたの企業の求人は埋没してしまう危険性があります。なぜなら、大勢の同業他社と同じ土俵──同じ媒体の中──で戦わなければならないのです。

その埋没を避け、あなたの企業の求人を競合他社とは異なるレベルで訴求する方法があります。

しかも低予算で、それは可能です。求人広告会社たちが業界全体で隠している最も費用対効果の高い求人手法。
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