離職率とは
離職率とは、ある仕事に携わっている人が一定の期間経過後に、どれだけ離れていくかを表したものです。
離職率は、その企業の労働環境を判断する材料としても使われています。
従って、求職者側からするとかなり重要な指数であることは間違いありません。
あなたも面接をしていて、その数字を聞かれたことがあるかもしれませんね。
離職率は業種によって大きく異なる
もちろん、離職率は業種によって大きく異なります。
雑誌「東洋経済」が毎年発表している「新入社員に優しい「ホワイト企業」トップ500 16年最新版!「新卒3年定着率」を徹底解明」によると、3年後の定着率ベスト3は、鉱業=100%、石油・石炭製品=97.3%、電気・ガス業=97.0%です。
大企業の新卒3年以内の離職率
では、離職率のワースト3は
- 水産・農林業=37.0%
- サービス業=32.6%
- 小売り業=27.1%
となります。
例えば小売業だと3年後には10人のうち3人近くが辞めていく計算ですし、鉱業会社だと誰も辞めないということになります。
ただし、東洋経済の統計はいわゆる大企業を対象としたもの。
もっと全般的に、零細・中小企業を含めた数字を見ていきましょう。
零細・中小企業の新卒3年以内の離職率
厚生労働省の雇用動向調査によると、平成26年の常用労働者全体における離職率は15.5%と、前年度より0.1%低い数字です。
業界別の離職率ワースト3では、
- 宿泊業・飲食サービス業=31.4%
- 生活関連サービス業・娯楽業=22.9%
- 医療・福祉業=15.7%
となっています。
日本の企業の約99%は零細・中小企業ですから、一般的にこれらの業界が離職率の高い業界と思ってまず間違いありません。
離職率30%超えは「ブラック」と言われるが、本当なのか?
求職者側は離職率の数字を基準にして企業の労働環境を推し量ろうとしています。
よく、離職率が30%を超えるとブラック企業であるなどと言われ、警戒されますが、本当にそうなんでしょうか?
離職率が高いからといってその企業がブラックであるとも言い切れません。
上に挙げたように宿泊業・飲食サービス業では30%を超えていますが、その業界内の会社全てがブラックであると断じることには無理があります。
あなたの会社では、離職率は入社して何年経過した時点で計算をしていますか?
通常、政府の統計では、入社後3年経過時点での離職者を調査しています。
なので、個々の企業も3年経過時点で計算することが多いのです。
仮に1年経過後で計算したらどうでしょう。おそらく、相当低い数値になることは確実です。
だからと言って、面接での回答が1年後の離職率というのもいかがなものかと思います。
質問をした求職者も数字の根拠を訊いてくるでしょうから、なぜ1年後なのか、3年後の離職率はどれくらいか、と再び質問するに違いありません。
3年後の離職率がブラックと判断されるレベルであったなら、「ブラック隠し」と決め付けられてしまうでしょう。
そうならないために、あるテクニックをお伝えしましょう。
離職率を味方に付け求人効率を上げるために
一般的に公開されている離職率の統計は、「新卒入社した社員」が対象となっていますが、「新卒なんか採用する余裕がないよ」という企業様も多いことは事実。
入社後、戦力に育て上げるための費用を考えたら、経験者を採用した方がはるかに費用対効果は高いため、中途しか採用しないという企業様も多いかと思います。
離職率の低さは求人活動を行う上でとても効果的な武器となります。
働きやすい環境が用意されている事を数字で証明できるのは手っ取り早いです。
新卒、中途に限らず全体的に離職率の低い企業様は是非ご活用ください。
離職率を抑える対策について
では、環境がまだ整っていない場合、離職率を低くするために努力しなければならないですよね。
改善すべき点は以下のようにたくさん出てくるかと思います。
- 面接で訊いた、個々の社員がやりたい仕事を与えていますか?
- 薄給だが我慢してくれと思っていませんか?
- 社員がやりがいを感じていますか?
- 労働環境の改善に努めていますか?
- イジメや差別、セクハラやパワハラなどはありませんか?
こういった改善努力を「労働者への歩み寄り」と捉えるのはナンセンスです。
今やもう、みんなで職場環境を良くしていくのが当たり前の時代です。
離職率が高ければその数字を謙虚に受け止めネガティブな要素を消すよう改善するように努めて頂ければと思います。