有効求人倍率って何?
よく、経済ニュースなどで「有効求人倍率」という単語を目にします。
その数値によって株価が左右されたり、景気がどうのと言われたりしますね。
でもこの有効求人倍率、簡単な単語の組み合わせなので、わかったつもりになっていませんか?
「求人倍率」はわかりますね。
ある企業が求人をして、それに応募してきた人の中から就職できる人の倍率です。
- 10人募集して、20人応募した場合、募集している企業が求職者の半分だから0.5。
- 10人の募集で10人応募してきた場合は、企業も求職者も変わらないので1.0。
厚生労働省は、これを全国レベルで調査しています。
求人数に対して求職者がどれだけいるかの統計を取れば、全国の企業がどれだけ元気がいいか分かる訳ですね。
さて、では「有効求人倍率」の「有効」は何を表すんでしょうか。
実は「有効求人倍率」は、ハローワーク(公共職業安定所)に上がっている求人数と求職者数を元にしています。
正社員、パートタイマー、アルバイト、契約社員、期間工、派遣社員、請負、嘱託の求人が含まれています。
1963年からの統計を見ると、67年に1.00となり、70年代前半では73年に1.76と高い数値を示しました。これはちょうど高度経済成長期です。
そして、オイルショック後は1.00を下回る年が続き、バブル絶頂期に1.40に戻っています。
しかし、バブル崩壊〜リーマンショック(2008年)を経てほとんどの年が1.00以下で推移してきました。
有効求人倍率は現在、1991年以来の高水準。今後どのように推移していくのか?
では2016年に入ってからはどうでしょう。
- 1月=1.36
- 2月=1.38
- 3月=1.35
という推移で来て、5月には1.36という数値が発表されました。
これは24年7か月ぶりの高水準です。
東京労働局によれば、都の5月の有効求人倍率は、2.03倍で、全国で最も高い数値となりました。
2015年に目を移すと、年初の1.14から上昇を続け、12月には1.27にまでなりました。
つまり、2015年からずっと上昇しているということになります。
1991年以来の高水準を示しています。
そして、この水準はこれからも続くと予測されています。
これはどういうことかというと、求職者にとって売り手市場、求人者にとっては採用の難易度が上がっている状況です。
実際、企業から人手不足の悩みを聞くことが増えてきました。
- 求人広告を出稿しても応募数が集まらない
- 選考辞退が増えた
- 面接をすっぽかされる
などの事態が起きています。
求人をなさっているのであれば、あなたの会社にも思い当たることがあるかもしれません。
大手企業の求人数が上がり、求職者はまずそちらへ流れます。
従って、中小・零細企業の求人には集まらず、人手不足が続くという予測もなされています。
今後も上昇していく有効求人倍率を見据え、求人を考えている企業様にとっては、求人の方法論を根本から見直す必要があるかもしれません。
有効求人倍率が実態に即した統計になっていない理由
さて、有効求人倍率の算出は、ハローワーク(公共職業安定所)を通じた求人によってなされていることは上でお伝えしましたね。
でも、あなたは「変だ」と思いませんでしたか?
だって、職を探す時にはハローワーク以外の選択肢がたくさんありますから。
特に今はネットで就職先を探すのが一般的となりました。
折込チラシや新聞広告といった伝統的なメディアも健在です。口コミだってあるでしょう。
ハローワークに掲出されている求人の有効期限は2か月です。
つまり、その期間中に出された求人とその応募者の数字のみが「有効」というわけなのです。
さらに、有効求人倍率には「新卒」の募集も含まれていません。
だから、有効求人倍率は、実態に即した統計にはなっていないという事です。
ですから、有効求人倍率はあくまでも目安として捉えた方が無難です。
現実はハローワークに出さずに求人活動をしている会社はたくさんいますので、実際の求人倍率はもっともっと高い筈です。
深刻な人手不足の問題が訪れている事はしっかり認識しておく必要があります。
求人はどんどん厳しくなる事に…
有効求人倍率が上がれば、競合が増えますので、いい人材の取り合いは依然として激しい状況が続くでしょう。
求人を考えていらっしゃる場合、
- ハローワークで2か月だけ有効な募集を出す
- 求人誌に広告を出稿する
- 折り込みチラシに出稿する
- ネット広告の可能性を探る
という手段が浮かびます。
ターゲットに本当に「有効」な手段を考えることが、求人広告の成否の決め手となります。
もし今まで思うような人材が採用できなかったとお悩みの場合、まずは下記で紹介している書籍をご覧になることをお勧めします。