仕事を辞める本音と建て前-あなたはちゃんと見抜いていますか?

耳打ち(仕事を辞める本当の話)

仕事を辞める理由はバイトを辞める理由とはやはり違います。

詳しくは、「バイトを辞める理由」をお読みください。

では、社会人の場合はどうでしょうか。

社会人のための転職サイト「リクナビNEXT」が退職者100人を調査したところ、下記のようなランキングがありました。「建て前」と「本音」に分けて統計を取っています。

会社を辞める建て前的な理由TOP10

  1. キャリアアップしたかった(38%)
  2. 仕事内容が面白くなかった(17%)
  3. 労働時間・環境が不満だった(11%)
  4. 会社の経営方針・経営状況が変化した(11%)
  5. 給与が低かった(7%)
  6. 雇用形態に満足できなかった(4%)
  7. 勤務地が遠かった(4%)
  8. 仕事に対する責任がなく物足りなかった(4%)
  9. 上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(2%)
  10. 同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(2%)

社会人として、しごくまともな理由が並んでいます。

特に1位の「キャリアアップ」を言い出されると、会社側もちょっと引け目を感じてしまい、まあ仕方ないなと認めざるを得ないと思います。

4割近くがこの理由というのもわかりますね。

私の転職経験でも、この理由を出したことがあります。

実際、ネームバリューも仕事内容も1ランク上の会社に転職が決まっていたので、正直に●●社へ転職することになりました、と言うと、

上司は「うーん、あそこなら仕方ないな。まあガンバレ」と言ってくれました。

さて、それでも中には「本音」を隠したまま聞こえのいい辞職理由を述べる人もいます。

バイトと同じく、辞める理由の本音です。

同じく「リクナビNEXT」の調査より。

会社を辞める本音的な理由TOP10

  1. 上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
  2. 労働時間・環境が不満だった(14%)
  3. 同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
  4. 給与が低かった(12%)
  5. 仕事内容が面白くなかった(9%)
  6. 社長がワンマンだった(7%)
  7. 社風が合わなかった(6%)
  8. 会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
  9. キャリアアップしたかった(6%)
  10. 昇進・評価が不満だった(4%)

1位の「上司や経営者への不満」は言い出しにくい内容ですね。

建て前のランキングにも入っていますが、わずか2%。

これは隠しておきたい本音の理由でしょう。

その他にも、不満が引き金となっての退職理由が並びます。

入社前にはわからなかった部分もありますし、7位の「経営方針・経営状況の変化」のような不可抗力もあります。

理由をストレートに告げるとあなたが傷付いたり角が立ったりするから、それを慮って聞こえのいい建て前の理由を告げているんです。

そのへんは、察しのいいあなたならおわかりかもしれませんね。

これは嘘だろ!?という退職理由TOP5

さまざまな思いや気働きが錯綜して、建て前の退職理由を告げてくる従業員。

今まであなたもいろいろな理由を聞かされてきたに違いありません。

そして、「これはどう見ても嘘だろう」と思ってしまった理由もいくつかありますよね。

その、嘘っぽい理由に関するアンケート結果もあります。

対象はマイナビニュース会員で、男性348名、女性430名が対象です。

Q:会社を辞める言い訳として嘘くさい言葉を教えてください

  1. 夢を追いかけます(19.9%)
  2. 自分がいたら迷惑をかけるので(12.6%)
  3. 田舎へ帰ります(12.5%)
  4. 家業を継ぎます(9.0%)
  5. 体を壊しました(8.7%)

この1位、「夢を追いかける」──いかにもですよね。

実は私も以前この理由を告げられ、思わず「何の夢?」と訊いてしまいました。

そうしたら「極めて個人的なことなので」とかわされました。

まあ、それ以上突っ込むのは時間の無駄なので止めておきましたが、「自分探しに出ます」という理由よりはマシだと思いました。

「自分探し」とは、もっとわからない言葉です。ふざけているんでしょうか。

夢にしろ、自分探しにしろ、漠然と納得させてしまう力を持った言葉だと思います。

わかったつもりになってしまうと言うか、勝手にしろというか。

ですから、こんな言葉を理由に持ち出されたら、(おそらく)説得は無駄です。

かっこつけたりふざけたりしていると取られてもいいや、と考えているわけですから。

それだけの関係だったと諦めるしかありません。

2位の「自分がいたら迷惑」という理由、泣かせる反面、こちらも反論できない性格を持っています。

自らの存在を退職の理由にしているように見えますが、決定的に意見の合わない存在がいることを匂わせています。

それは個人かもしれないし、部署かもしれないし、会社かもしれません。

迷惑をかけられている方もお忘れなく、という無言のアピールです。

もしかしたら、あなたには見えていない人間関係の危機が起きているのかも。

要注意の理由だと思っています。

「田舎に帰る」という理由で辞めていった従業員が、相変わらず同じ街で働いていたという目撃談が寄せられることもあります。

もっと気を遣ってくれよ、と思ってしまいますね。

ここには入っていませんが、「結婚します」というのもよくある理由です。

たいていの場合は本当に結婚退職ということになると思いますが、どうもそうではないのかも、と邪推してしまう時もあります。

退社してから別の会社で働いてることも、よくあるからです。

後で突っ込んで訊いてみるなら「破談になった」「経済的理由」などという理由を持ち出すのかもしれません。

ポピュラーな理由だけに、裏読みをされにくい側面も持っているわけです。

辞められることを職場の改善に繋げる2つのポイント

辞められてしまうのは痛手である反面、職場の改善に繋げられるいい機会なのです。

本音の理由を探り出し、その原因を突き止めましょう。

改善できる問題には、すぐ着手して不満要因を取り除きましょう。

建て前の理由を述べるのは、円満退社のための方便であるとともに、会社側であるあなたへの気遣いでもあります。

たとえ「一身上の理由」であったとしても、本当はどうなの?という探索をしましょう。

探る要因は、例えば次のようなことです。

改善ポイント1:上司や同僚との軋轢はないか?

理不尽な要求が多い、生意気だと思われている、能力を評価してくれない、パワハラやセクハラが絶えない、などなど、上司に対する不満は尽きません。

同僚に対しても、意見も性格も合わない、仲間はずれにされる、陰口を言われている、などというイジメに近い状況があるかもしれません。

腹を割って話し合い、あなたが味方だという心理を抱いてもらえれば、本当の理由や職場の問題点も語ってくれるようになります。

その従業員の部署異動や、あるいは組織改革でそれが可能であれば、もしかしたら退職を思いとどまってくれるかもしれません。

辞めることは避けられない時は、せめて本音を引き出す努力を。

あなたの気持ちと話術が、次の退職者を出さないための方策に、大きく役立つかもしれません。

改善ポイント2:あなたを飛び越えて辞意を告げられたら

それから、時々起こるのが辞意を告げるべき人物を飛び越えてしまうこと。

例えばあなたがAさんの直属の上司だった場合は、当然Aさんの辞意はあなたが聞くことになります。

ところが、Aさんはあなたの上司であるBさんに辞意を伝えてしまいました。

Aさんの無知によるものであれば仕方ないのですが、あなたには直接言い出せない何かを感じていたのかもしれません。

上司のBさんも、あなたを飛び越えて自分に話しに来たことを、深読みする可能性があります。

あいつ、部下に信頼されていないんじゃないか、と思われる危険性もあります。

もしそういう事態になってしまったら、ゆっくり深呼吸して、思い当たることはないか、振り返ってみてください。

何か引っかかれば、それをこれからの糧にしていけばいいのです。

上司のBさんにはそのことを正直に告げておきましょう。

辞めていく従業員が出るのは確かに痛手ではありますが、そのことによって職場や会社、そしてあなた自身の改善ができれば、ポジティブな出来事に変えられるのです。

そして職場環境のよくなったあなたの会社が、次なる人材を募集する時は、ぜひ効率がよく失敗をしない方法を模索してみてください。

下記で紹介している書籍も参考にしていただければ幸いです。