アルバイトを雇っている場合、「辞めます」と言われる機会は多いでしょう。
あくまでも「パートタイムジョブ」なので、これは仕方ありません。
「辞める」と言われた時、当然その理由を訊くかと思います。
バイトの雇用経験が豊富であれば、今までさまざまな理由を聞かされていますよね。
ポピュラーな辞める理由を、ちょっと並べてみました。
よくある「バイトを辞める6つの建前」
建前1:学業に専念したいから
大学生を対象としたある調査によると、理由のおよそ6割がこの理由です。学生の本分は勉学ですから、これは当然正当な理由です。
ゼミに入ってバイトを続ける時間が無くなった、というのも聞いたことがあるでしょう。
学業との両立が困難ということであれば、認めざるを得ません。
他に、「資格試験の勉強をしたい」という理由も多く使われます。
建前2:サークル活動に専念したいから
こちらも学生ならではの理由ですね。
3年生になってサークルの幹部になりバイトの時間が取れなくなった、学業とサークルを両立させたいから、というのがサークル絡みで辞める理由です。
普段からサークルのことが話題に出ていれば、まあ仕方ないなとなりますね。
建前3:就職活動をしたいから
学生さんでしたら、これも当然の理由になりますね。
3年生ともなればインターンシップなんかも始まります。
「いっそのことインターンシップはうちにしたら?」などと言ってみたこともあるでしょうか。
第一志望に入れるといいね、と励ましたりするパターンです。
「ダメならうちへ来いよ」とジョークを言ったりもしますね。
建前4:家庭の事情
引っ越し、家族の病気、家業を継ぐなど親と同居している場合、親が引っ越ししたらバイトを続けにくくなるのは当然です。
また、フリーターの場合は家族に病人が出てしまったら、看病に時間が取られてしまいます。
経済的にきつくなるのでは、と思って同情もしてしまいます。
親が営んでいる職業を継がなければ、というケースもあるでしょう。
「いい加減に跡を継げ」と言われてるんですよと、普段から聞いているかもしれません。
建前5:健康上の理由
「体調が悪くなったのでバイトを続けられない」これもよく聞く理由です。
明らかにつらそう、顔色も悪くなった、病欠しがちだったりすると、すんなりとその理由を飲みこんでしまいますね。
身体にむち打って働けとは言えませんから。
建前6:一身上の理由で
バイトに限らず、会社員でも頻繁に使われる理由です。
この言葉の無敵なところは、何だって理由になってしまうところ。
どんな一身で、どんな都合か、それ以上突っ込んで訊けない言葉です。
このように、バイトを辞める理由はいくつかの項目に集約されます。
バイトを辞める「5つの本音の理由」
本音1:シフトがきつい、仕事がきつい
- 本当はもっと自分の時間がほしいのに、どんどんシフトを入れられてしまう。
- 休みたいと言ったのに聞いてもらえず、シフトが入っていた。
- 仕事量が多すぎて体力が持たない。
- 覚えなければならない専門知識が多くて、つらい。
- 残業が多く、定時でなかなか帰れない……
自由な時間がほしいからバイトをやっているのに、結局仕事に振り回されていることに嫌気がさすことは多いんです。
本音2:人間関係が悪い
- 上司や社員とウマが合わない。
- 社員とのコミュニケーションが難しい。
- 社員が偉そうにして腹が立つ。
- 同僚のバイトが自分の悪口ばかり言っている……
仕事が面白くてやりがいがあっても、人間関係がうまく行かないと、職場に来るのも嫌になります。人と反りが合わないことを伝えるのが苦手で、気を遣ってしまいがちな人は少なくありません。
本音3:時給が安い
やはり、魅力あるのは時給が高いバイト。
モチベーションを高く保つことができるのも、時給の高さです。
ということは、時給の低さは働く気を削いでしまうわけです。
そして、仕事の大変さに比べ時給を低く感じることも。他のバイトと比較して「安いなぁ」と思うこともよくあります。
本音4:仕事がつまらない
- 単純作業が多くてメリハリがない
- じっとしているだけでつまらない、
- この仕事がいったい何に貢献しているのかわからない……
こう思っていたとしても、「仕事がつまらないから辞めます」とは言えません。こういう時はやはり建て前の理由に頼りたくなりますね。
本音5:他にやりたいバイトがある
隣の芝生が青く見えるのは、バイトでも正社員でも同じです。
でも、数ある仕事の中からここを選んだのですから、他が面白そうだからそっち行きますとは言い出せませんね。
いかがですか。
建て前の陰に隠れた本音の数々。
あなたも思い当たることはあるでしょう。
理由をストレートに言うと角が立ったり傷ついたりするから、一生懸命建て前の理由を考えているんですよ。
辞めたいと言ってきたアルバイト社員へどう対応するか
では、会社のアルバイト社員が辞めたいと言ってきた時、あなたはどう対処していますか。
まず引き留める
しかし、バイトを辞めると決めた人間は、絶対辞めると思っていいです。
あなたが困ることはもちろん承知しています。
それに対して申し訳ない気持ちも充分に持っています。
それでも辞めたいんです。引き留めるのは至難の業です。
次善の策を提案する
決意が固いと見ると「シフトがきつければ減らすから」「配属を変えるから」など、譲歩案を示して思い留まってもらおうとしますよね。
しかし、そう出るのはバイト側も織り込み済みです。
反論できない理由、つまり建て前の理由を提示してくるわけです。
今辞められると困る──人手不足に悩んでいるこの時代、バイト従業員が辞めると本当に困ります。
それは、痛いほどわかります。
だからいろいろと言葉を尽くして引き留める気持ちは当然です。
しかし、辞意は固いことが多いのです。
仕方ない、という気持ちに早くなることが、次の段階への準備に繋がります。
そして、バイトを辞めると言っている側に対し、やってはいけないことがいくつかあります。
辞めますというアルバイト社員にやってはいけない4つのこと
1:理由を根掘り葉掘り訊かない
突然の「辞めます」に動揺してもしなくても、理由を訊こうとしますよね。
当然辞める側は建て前の理由を言ってくるわけです。
それでも納得ができない(当然ですが)場合でも、あまりしつこく訊きだそうとするのは避けてください。
「本当に学校が忙しいのか」などと突っ込んだら態度は硬化するだけ。
上でも言いましたが、辞意は固いものです。
こじれさせないよう、注意しましょう。
2:法律を無視した行為に出ないこと
労働基準法によると、2週間前までに辞意を告げておけばよいことになっています。
本当は2週間では次のバイトが見つからず穴が空いてしまうことも多いのですが、法律ではその期間であれば適法と定められています。
3:契約期間を勝手に(自動的に)延長するのも違法
例えば半年間の労働契約を交わしている場合、7か月目からの仕事についても契約書を交わさなければなりません。
これをせず、「雇用側で勝手に契約更新する」のはいけません。
また、「うちは自動更新することになっているから」と勝手に更新することもできません。
ここはしっかりと契約と法律に向き合ってください。
4:価値観を押しつけない
「今まで目をかけてきたのに何だ」「後釜くらい探してから言え」などと、つい感情的になるのもよくわかります。
また、電話で辞意を伝えてきたり、メールやLINEで辞めたいことを伝えてきたり、あなたの価値観とは違う方法を取られたりしたからと言って、怒ったり脅したりしてはなりません。(さすがに、メールやLINEはいかがなものかと思いますが)
それでも、職場や上司によってはそれが通じないこともあるよ、とやんわりと忠告しておくのも忘れないでください。
要は、双方円満に穏便に辞めることが大切なのです。
働いた分は、きちんと給料を支払います。
たとえ研修中であっても、労働には変わりありません。
「研修中に辞めたら無休」という条件は、労働基準法では認められません。
バイトの離職は職場改善のいい機会
アルバイト従業員が辞めたいと言い出し、それを認めた。
その理由に反対すべき点はないが、やはり建て前のように感じた。
こんな場合は、あなたの職場に問題が無いかどうか今一度チェックしてください。
シフトはきつくありませんか?
バイト従業員の様子を見たり、出退勤の記録をチェックしたりして、働かせすぎていないかどうかを判断してみてください。
それとなく声をかけて、シフト状況に対してどう感じているか探ることも大切です。
店長や社員の教育を見直しませんか
「店長・社員vsバイト」という図式は、職場でよく見られます。
雇用者側とバイト側の対立です。
「使えないくせに威張ってる」「上司に弱くバイトに強い」などという陰口は、至るところで聞くことができます。
同じ職場で働く人間は、仲間です。
共に手を携え合って、高め合っていかねばなりません。
綺麗事に聞こえるかもしれませんが、これは真実です。もう一度雇用側で確認してください。
この真実は、職場に行き届いていますか。浸透していますか。
言い出せない雰囲気を作っていませんか?
誰しも、退職を切り出すのは気が重いものです。
上司や責任者が忙しそうだったりすると、つい遠慮したり萎縮したりして言うことができず、電話やメールで済ましてしまおうと思いがちです。
何でも話せる雰囲気や環境を普段から作っておけば、辞意を伝えるハードルは低くなります。
それに、そういう職場なら環境もよく、すぐに辞めたくなる従業員は少ないでしょう。また、辞めたあとに支払う給料を受取に来にくい環境、雰囲気はありませんか。
ただでさえ辞めた会社に行くのは気が引けるのに、足を運ぶのも嫌な職場環境だったとすると、取りに来られず、ヘタすると給料未払い云々の問題にも発展しかねません。
このように、バイト従業員が辞めてしまうことをマイナスと捉えず、職場環境を見直すいい機会だと思って、もう一度細部までチェックしてみてください。
バイトの離職率を下げるためにも、有効なのです。