「ブラックバイト」──ここ数年、「ブラック企業」とともに浮上している言葉です。
その字面通り、従業員にとって「ブラック」な仕事内容、給与水準、福利厚生等を持ち、特に学生にとって、本来の学生生活が送れなくなってしまうほど酷いアルバイトであるとされます。
あなたの企業でアルバイトを雇用しているのであれば、「ブラックバイト先」と呼ばれているのかどうか、気になるところでしょう。
バイト学生には面と向かって訊けないでしょうから、ある統計をご紹介します。
Q:自分のバイト先が「ブラック」だと思ったことある?
- はい───101人(25.2%)
- いいえ──300人(74.8%)
マイナビ学生の窓口調べ
調査日時:2015年1月12日~2016年1月20日 調査人数:学生男女401人(男性199人、女性202人)
http://dailynewsonline.jp/article/1084134/?page=all
およそ4人に1人は自分のバイト先が「ブラック」と認識しているのです。
では、バイトたちはどんなことを経験すると「ブラックバイト」と認定してしまうのでしょうか。
ブラックバイトから学生を救済する活動を行っている「ブラックバイトユニオン」の調べでは、下記のような事例を紹介し、チェックリストとしています。
http://blackarbeit-union.com/
ブラックバイトのカテゴリー毎チェックリスト
【賃金編】
- 賃金の計算が1分単位ではない
- 準備や片付けの時間に賃金が支払われなかった
- 仕事が延びても残業代が時間通り支払われなかった
- 賃金が一方的に引き下げられた
- 賃金が毎月決まった日に支払われなかった
- 残業代が割増賃金ではなかった
- 給与明細書がもらえなかった(パソコンで確認できる場合を除く)
【責任編】
- 売り上げのノルマなどを課されている
- 商品やサービスの買い取りを強要された
- ミスをした分を支払わされた
- 仕事上のケガの治療費を自己負担させられた
【労働環境編】
- バイトを減らす理由として、「試験勉強」は認められない
- 休憩はとれたりとれなかったりだ
- 実際の労働条件が、募集の際に提示されたものと違った
- 労働条件を書面で渡されなかった
- シフトや勤務日数、勤務時間を一方的に減らされた
- 希望していないシフトに入れられた
- 就業規則がいつでも確認できるようになっていなかった
- 1日に6時間を超えて働いても休憩時間がもらえなかった
【ハラスメント編】
- アルバイトの上司・先輩から暴言・暴力・嫌がらせを受けた
- アルバイト間で暴言・暴力・嫌がらせを受けた
学生たちはどのようにブラックバイトに対応するのか?
このようなブラックバイトでは、違法行為が存在している可能性も高くなっています。
例えば、サービス残業をさせられる、休憩時間が与えられない、ノルマの未達成を理由に商品を買い取らされる、上司によるパワハラ・セクハラがある、などです。
前章で「ブラックバイトユニオン」という組織をご紹介しましたね。
もともとNPO法人で若者から労働相談を受けていたスタッフが立ち上げた組織だそうです。
ブラックバイトユニオン
http://blackarbeit-union.com/
事例集、対応策、啓発活動を行い、法律知識を元にアドバイスなどしているとのこと。
こういった組織が発言力を持ち、社会や行政を動かす力となっていくのでしょう。
バイト学生が「もしかしたらブラックバイトかもしれない」
と思った時に集めておくべき証拠が列挙されていますのでこちらでも紹介しておきます。
http://blackarbeit-union.com/cases/proofs/index.html
ブラックバイトを立証する証拠は何を使われるのか?
- 求人票
- 面接時の録音データ
- 契約書
- 就業規則
- 労働時間、賃金不払い、罰金など
- メモ
- タイムカードコピー
- 給与明細
- 電話・メール履歴
- SNS(Line、Twitter、facebook等)
- 携帯カメラでの撮影
- 罰金金額がわかるもの(メモ等)
- パワハラ、セクハラの事実
- ICレコーダー、携帯電話の録音アプリでの録音データ
- 面接時の録音データ
- メール等書
- メモ(いつ・どこで・誰に・何をされ・どう感じたか)
- 急なシフト変更などのトラブル
- シフト申請書
- シフト表
- 契約書
- 電話、メール、店員同士のLine
どうですか?
雇う側であるあなたの、一挙手一投足が証拠となる気がしてきませんか?
これらの中には、無意識のうちにしてしまいがちな事柄も入っています。
つまり、常に神経を行き届かせておかなければいけないわけです。
あまり神経質になりすぎて、バイト学生のちょっとした仕草や言動にも怯えてしまうかもしれません。
疑心暗鬼が生じ、気が休まる暇がなくなるかもしれません。
かなり困った状態に陥りますね。どうしましょう。
ブラックバイト企業と言われないために注意すべきこと
それは実に単純です。
「バイトはあくまでもバイト」だということ。
「アルバイト=arbeit」という言葉は、ドイツ語の「労働」という意味です。
それがいつしか「副業」という意味で使われるようになりました。
英語で言うと「part time job」で、「パートさん」と同じ意味です。
つまり、バイト学生とはあくまでも副業で働いている存在。
彼らの本業は学業であるということを、再認識してください。
この意識さえ徹底しておけば、つまり線引きさえキチッとしておけば、過大な期待をしなくていいし、過大な責任を負わせることもなくなります。
また、学業の合間に働くということは、経済的にそれが必要であるということ。
アルバイト代の不払いや払い渋りは、彼らの生活に直結してくるわけです。(もちろん、遊ぶおカネが目当てで働いている学生も多いのですが)
「騙さない」「約束を守る」「ハラスメントをしない」は鉄則
騙すことはもってのほかです。
約束した給与金額を払わない、残業代を出さない、休みを取らせない。
弱い立場であるのをいいことに、ハラスメントをしない。
考えてみれば、社会人として当たり前のことばかりです。
そこがすっぽりと抜けてしまい、単なる使い捨て労働力としか見ていないから、ブラックバイト云々と取り沙汰されるわけですね。
上記に挙げたブラックバイトのチェックリストをもう一度見てください。
これらに当てはまるかどうか、あまり神経質になる必要はないと、私は思います。
要するに、立場の違いが明確になりさえすれば、雇う側も自然とホワイトになる。
性善説に基づいています。
未然にトラブルを防ぐために人材を見極める
しかしながら、些細なことで労働トラブルは起こりうることは、あなたも経験上十分ご承知でしょう。
たとえアルバイトでも、採用する時相応しい人材かどうかを見きわめる必要があります。
そのためには求人広告のあり方を見直すことも大切です。
まずは下記で紹介している書籍をご覧いただき、質の高い人材を獲得する方法を知っておくのはいかがでしょうか。