2013年の「生産年齢人口」が7900万人となり8000万人を割り込んだという統計が、総務省から発表され、大きな衝撃を与えました。
実に、32年ぶりのことなのです。
そして2016年6月1日現在の概算値ではさらに減少し、7650万人に。
生産年齢人口とは
この生産年齢人口とは一体何かと言いますと、年齢別人口のうち生産活動の中核をなす年齢の人口層のこと。
つまり、「15歳以上65歳未満の人口」が該当します。
働く意思のない人や専業主婦、病気の方も含まれます。
これは世界共通の尺度として国際的に採り入れられています。
生産年齢人口の推移
この生産年齢人口、ピークとなったのは1990年代半ば。
1995年に8717万人となりました。
団塊の世代が40代の働き盛り、その子ども世代の団塊ジュニアも生産年齢人口に加わった時代です。
しかしそこから減少に転じ、ずっと下がりっぱなしです。
また、総人口に占める生産年齢人口の割合は、1990年代半ばには70%近くあったものの2015年には60.7%まで低下し、2016年には60%を切るという予想も出ています。
これは、終戦直後の1940年代後半の水準と同じです。
(注1)2014年までは実績。2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所の推計による。
(注2)1941~43年はデータが存在しない。
(出典)総務省統計局「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」
(平成24年1月推計)を基にNTTデータ経営研究所が作成。
http://www.keieiken.co.jp/pub/yamamoto/column/column_150601.html
この要因となっているのは、少子高齢化による人口の減少。
高齢化が進み、出生率が下がり、という状況では必然と言えるでしょう。
最大の人口層を形成している団塊の世代が65歳以上の高齢者層となり、この減少傾向に拍車をかけているのです。
日本の総人口の減少率よりも5倍ほど速いペースで減っているのが、生産年齢人口です。
これがいったい何をもたらすのか、見ていきましょう。
生産年齢人口の減少がもたらす悲観的状況
この生産年齢人口の減少は、私たちにどんな影響を及ぼすのでしょうか。
所得も税収も減る事で、日本のGDPは世界9位まで下がると予測
働き手が減るということですから、生産も減るということに結びつきます。
65歳以上の生産年齢以外の人口は膨らみ続けますので、その人たちを少ない働き手で支えなければなりません。
さらに、出生率の低下によって14歳以下の人口も減り続けています。
総人口に占める割合は2014年に12.8%となり、「次の生産年齢人口」の増加も期待できない状態です。
この人口逆ピラミッド減少は、もうどうすることもできません。
政府は少子化対策を進めているものの、思うような成果が上がっているとは言えません。
生産性が落ちるということは、日本の財政に深刻な打撃を与えるということ。
所得が減り、税収が減り、あらゆる物の維持が困難になります。
年金、医療など社会保障制度を維持することは、不可能となってしまいます。
この状況を受け、識者や研究者からは「日本の悲惨な未来像」が繰り返し語られています。
例えば、経団連が2012年に公表した2050年のシミュレーション。
財政が悪化し成長率が下振れるシナリオとなった場合、GDPは世界9位まで下がります。
2030年以降、日本はさらに元気がなくなっていく
さらに、少子化の影響が強く2030年代以降の成長率はマイナスに。
消費税を10%に引き上げても2050年の政府債務残高は対GDP比で約600%に達するという悲観的な未来像が語られています。
英国「エコノミスト」誌の未来予測本「2050年の世界」では、世界の主役は中国とインド。
GDPも両国が最大となります。
日本のGDPは世界10位。存在感は限りなく薄くなってしまいます。
こうした予測は敢えて悲観的に予測したものではなく、客観的な要素を集め、科学的に予測した結果がこの未来図を描かせているわけです。
では、身近な分野に目を向けてみましょう。
私たちが関わっている労働分野です。
この生産年齢人口の減少による影響を低減するためには、どのような施策が必要なんでしょうか。
生産年齢人口が減少する中で人手不足を解消するためにすべき2つの対策
こんな悲観的な未来を語っていても仕方がありません。
私たちには、今すべきことがあるのです。
それは、生産年齢人口の減少を、どうカバーするかの方策です。
この状況を一言で言うと、「絶対的な人手不足になる」ということ。
- いくら求人募集を出しても人が来ない
- 来たとしても優秀とは言いがたい
- しかし採用しないことには業務が回っていかない
- ほんのわずかの期間で辞められてしまう。
- そして、また求人募集を……
この、負のループを解消しないことには、未来がどうのと言う前に、生活ができなくなってしまいます。
生産年齢人口の減少下で、すべきことは2つです。
対策1:生産性の改善
少ない人数で今まで以上の生産性を確保するために、あらゆる部分の見直しと改善が必要です。
無駄はないか、無理はないか。
もっとコストを減らす手段はないか。
新機軸の商品やサービスでさらなる収益向上ができないか。
あなたの企業で出来うることを考えてください。
情報を集め、スキルを高め、知恵を絞る。
設備投資、人材投資、技術開発投資を行う。
人件費の上昇は必然的に起こるでしょう。
でもこれが結果として生産者の所得安定、雇用の安定化に繋がるのです。
対策2:求人戦線に勝ち抜く
減りつつある労働者を奪い合う状況は、さらに深刻になります。
まして、優秀な人材はどんな業種であろうとも喉から手が出るくらいほしい。
優秀な女性や高齢者の採用、外国人の採用ということを視野に入れてもいいでしょう。
もはや性差など気にしている時代ではありません。
それに、まだまだ働く気力充分の高齢者も職を求めています。
生産年齢人口の上限が64歳までというのも、この時代においては若すぎる。
70歳まで生産年齢に入れてもいいのではと個人的に思っています。
外国人にも、単純労働ではもったいないくらいのスキルを持った人もたくさんいます。
もっともっとオープンになるべきです、今の日本は。
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