前回は、求人業者に大きな費用を払っても、会社に求人で成果を出す力が残りにくい、という話をしました。
では、求人内製化で本来、会社に残すべきものは何なのでしょうか?
結論から言うと、求人で一番重要な仕事は、求人を作ることではありません。 作る前に、調べて決める仕事があります。
旅行と同じ!予約の前に計画が決まっている
旅行の満足度を左右するのは、飛行機やホテルを予約する作業だけではありません。
その前に、次のようなことを調べて、計画を立てます。
- 誰と行くのか
- どこへ行きたいのか
- どのお店へ行くのか
- どのような順番で回るのか
- 移動にどのくらい時間がかかるのか
何も調べずに海外旅行へ行ったら、どうなるでしょうか?
行きたいお店は休み。人気の場所は予約制。移動ばかりで一日が終わる。何も調べずに行くと、満足できる旅行にはなりません。
求人も同じです。
求人原稿を書く。採用LPを作る。媒体へ掲載する。広告を出す。これらはすべて、方向性が決まった後の作業です。
その前に、次を調べ、決める必要があります。
- どんな人を採用したいのか
- その人は何を求めているのか
- 競合は何を伝えているのか
- 自社には、どんな魅力があるのか
- 何を、どの順番で伝えるのか
つまり、求人で最も重要な仕事は、求人を作る前にあります。
ここを飛ばして「作ること」だけを外に出すと、見た目は整っても、成果の再現は社内に残りません。
「作る」より前に、これだけの仕事がある
求人を作る前には、ターゲット設定・リサーチ・ポジショニングなどの仕事があります。
- ターゲット設定
- 求職者リサーチ
- 競合リサーチ
- 自社リサーチ
- スタッフインタビュー
- ポジショニング
スタッフへ話を聞けば、なぜ入社したのか。入社前に何が不安だったのか。実際に働いて、何を良いと感じているのか。こうした、求人に使える材料が見つかります。
競合を調べれば、他社と同じことを伝えていないか。自社は、どこで違いを出せるのか。ということも見えてきます。
こうした土台があって、初めて求人原稿や採用LPが作れます。
ここまでが「作る前」です。手順の細かいやり方は、また別の話です。いま大事なのは、順番を間違えないことです。
なぜ、作る前の仕事が飛ばされるのか?
大きな理由は、リサーチや戦略設計を体系的に学べる場所が少ないからです。
たとえば、美術大学や専門学校で主に教えているのは、デザインの作り方や、制作ソフトの使い方です。もちろん、これも必要な技術です。
しかし、広告で成果を出すための考え方は、ほとんど教えてもらえません。 ターゲットの決め方、リサーチの進め方、競合との差別化、ポジショニング、コピーライティング——ここが抜けます。
そのため、きれいなデザインを作ることはできても、何を調べ、何を伝えれば人が動くのかが分からないまま、制作の現場に入ることになります。
求人媒体の営業担当者も同じです。媒体や掲載プランには詳しくても、求人で成果を出すためのリサーチや戦略設計を、体系的に学んでいるわけではありません。
だから、掲載することはできる。作ることもできる。広告を出すこともできる。でも、その前に何を調べ、どのような求人を作るべきかまで的確に進められる業者は、ほとんどいません。
代行業者ばかりなのが、その証拠
求人業界には、掲載代行や、原稿制作、採用LP制作、広告運用代行が、たくさんあります。
一方で、会社が自分で求人を考え、改善できるようにする——求人内製化を教える会社は、ほとんどありません。
本当にその知識があるなら、代わりに作るサービスだけでなく、会社へ教えるサービスも、もっと増えているはずです。でも、現実は、代行業者ばかりです。
僕は、この状況そのものが、求人で本当に必要な知識を持つ会社が少ない証拠だと思っています。
会社に残すべきなのは、作る前の考え方
会社に残すべきなのは、完成した求人原稿や採用LPだけではありません。
誰を採用するのか。その人に何を伝えるのか。競合と、どこで違いを出すのか。この考え方です。
考え方が社内に残れば、原稿は何度でも作り直せます。媒体や業者が変わっても、改善を続けられます。
求人内製化で本当に残したいのは、ここです。作る作業そのものより、作る前の判断基準を会社の中に置くこと。
ただし、リサーチは、たくさんやればいいわけでもありません。次回は、リサーチをやることと、成果につながるリサーチができることは、何が違うのか?この点について書きます。
まとめ
求人原稿や採用LPは、方向性が決まったあとの作業です。求人で一番重要な仕事は、求人を作る前にあります。
求人内製化で会社に残すべきなのは、完成物ではなく、誰を狙うのか・何を伝えるのか・どこで違いを出すのか、という考え方です。
求人内製化について詳しく知りたい方は、こちら から。
P.S. 僕が多摩美術大学を卒業したのは、今から25年以上前です。当時も、デザインの作り方や制作ソフトの使い方は学びました。しかし、広告で成果を出すための理論や、リサーチ、コピーライティングについては、ほとんど教えてもらえませんでした。
そして驚くことに、現在も、当時と大きく変わっていません。25年以上たっても、この業界の教育はほとんど変わっていない。 僕は、その事実にかなり衝撃を受けました。
なぜ、きれいなものは作れても、成果につながるものを作れる人が少ないのか?その理由は、こうした教育の現実にもあると思っています。



